妖怪たんす担ぎ

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追記2006.7.16
IRUKAさま。 盗作ではありません。 小林のオリジナルです。  かなり前にあるMLで書き込んだところ、ウケたので、そこから誰かまぐまぐに書き込んだのでしょう。 当時と若干文章を変えています。 



 ある日曜日の午後、知人の家に子供用の整理棚をもらいに行くことになった。 車には乗らんなー、、、仕方ない、担ぐか、、、。 ということで、僕は歩いて家を出た。  自宅のアパートから延びた田んぼの中の細い一本道。 この道が知人の家への近道である。 まぁ、子供用の整理棚くらい、なんとか担げるやろ、、。 行きはよいよいであるが、たぶん、帰りもよいよい、、、、、のはずであった。


 こんにちはー。 小林です。 整理棚もらいにきましたー。  これっすか、、、?。 見ると、正面に扉がついている。 担いでみると、まぁ、担げない重さでもないが、思ったよりも大きかった、、。 こりゃ棚じゃなくてまるで「たんす」じゃん!。 一人突っ込みはちょっとだけ空しい。   しかし、「まぁ、小林さんのご主人って、たくましいわー、」の声に、いい気になりながら、外に出た。


 外に出たはいいが、どうも、この「たんす」がすごく担ぎにくい。 まず、表面がつるつる滑る。 滑るので、重心がとりにくく、中で外れた棚が転げまわる。 その度に扉がばった〜ん!と開くのである。 そしてその衝撃で「たんす」の角が肩に食い込む。


 「小林さーん!、大丈夫ですかー!?」 振り向くと、あの奥さんがベランダから手を振っている。 「はーい、大丈夫でーす」。 まぁ、視界から消えるまでは頑張って担ぐか。

 がらがらっ、、、ばったぁあ〜ん!。 がらがらっ、、、ばったぁあ〜ん!。
凄い音だ。 扉を手で押さえつけておかないと、中の棚が飛び出しそうである。 途中、どうか知ってる人には会いませんように、、、。

 がらがらっ、、、ばったぁあ〜ん!。 がらがらっ、、、ばったぁあ〜ん!。
あー、手がすべるぅ、肩が痛くてたまらん。


 僕はとうとうたまらず、路地を曲がったところで、「たんす」を降ろしてしまった。 しかし、そこはスーパーの前。 夕方の買い物客でごった返している。 なにもこんなところで降ろさなくてもいいのに、と思うが仕方がない。 店の前の「たんす」とそれに寄り添う、男。 こんな時は「たんす」とは他人のふりをするのが一番である。 僕は「たんす」とは他人のふりをしながら、体力の回復を待った。


 買い物客は、いぶかしげに「たんす」を眺めながら家路を急ぐ。 なんでこんなところに「たんす」があるんだ、、。 まったく邪魔で、迷惑な話である。 このままいなくなろうか、、とも思ったが、さすがにそれはやめた。

 がらがらっ、、、ばったぁあ〜ん!。 がらがらっ、、、ばったぁあ〜ん!。   
夕方の住宅街に、また再び大音響が響きわたった。 ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ、、、、。 息づかいも荒い。


 僕はなんで今、「たんす」なんか担いでいるんだろうか、、、。 いつもなら家で寝転んで、テレビを見ている時間である。  なんか急に虚しくなってきた。

 がらがらっ、、、ばったぁあ〜ん!。 がらがらっ、、、ばったぁあ〜ん!。
手がすべる。 重心が移動し、「たんす」を落としそうになる。 
もう少し、、もう少し、、。 あの電柱まではなんとか、、、。

 がらがらっ、、、ばったぁあ〜ん!。 がらがらっ、、、ばったぁあ〜ん!。
暫らく担いでは、降ろし。 また担いでは、降ろす。 肩が痛い。 汗だくになる。

 がらがらっ、、、ばったぁあ〜ん!。 がらがらっ、、、ばったぁあ〜ん!。
ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ、、、。 息遣いが荒い。

 がらがらっ、、、ばったぁあ〜ん!。 がらがらっ、、、ばったぁあ〜ん!。
 がらがらっ、、、ばったぁあ〜ん!。 がらがらっ、、、ばったぁあ〜ん!。


、、、、、、、、、、、、、、、、

 僕はとうとう、田んぼの一本道にたどり着いた。 夕闇が迫り、遠くに我が家の明かりが見えている。 あとは直線、100メートル!。 ぼくはいつの間にかオリンピックのアスリートになっていた。  この「たんす」を最後まで降ろさずに、担ぎとおしたら金メダルだと勝手に決めた。 何度も担いだり、降ろしたりはもう御免だ。 金メダル、金メダル。 体力の回復を待って、呼吸を整える。 これをやり遂げれば、冷たいビールという美酒が家で待っているのだ。


 レディ、、、。

 がらがらっ、、、ばったぁあ〜ん!。 がらがらっ、、、ばったぁあ〜ん!。
 がらがらっ、、、ばったぁあ〜ん!。 がらがらっ、、、ばったぁあ〜ん!。



今度は最初から早歩きである。 バランスが崩れる。 しかし、力で「たんす」をねじ伏せる。

 がらがらっ、、、ばったぁあ〜ん!。 がらがらっ、、、ばったぁあ〜ん!。
だんだん、スピードが上がる。 もう少し、、もう少し、、、苦しくなってきた!。
肩に「たんす」が食い込む!。 息が荒い!。 転びそうになる!。

 がらがらっ、、、ばったぁあ〜ん!。 がらがらっ、、、ばったぁあ〜ん!。

、、、、と、その時、、。   前方を歩くOLを発見。 
ぁああ、、やばい!。 だんだん距離がつまる!。  もう、ほとんど小走りである。

がらがらっ、、、ばったぁあ〜ん!。 がらがらっ、、、ばったぁあ〜ん!。
お願いだぁ、、ちょっと通してくれ、、。

がらがらっ、、、ばったぁあ〜ん!。 がらがらっ、、、ばったぁあ〜ん!。
そこのOL!、、、、ちょっと、通して、、。    お願い、、通して、、、!。 
、、、、、、、、、、、








は、、走るなっ!!。    走るなっ、OL!!

OLは後ろからの殺気を感じて、振り返りもせずに走り出してしまった。

 ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ、、、
 がらがらっ、、、ばったぁあ〜ん!。 がらがらっ、、、ばったぁあ〜ん!。


OLも必死だが、僕はもっと必死である。

 「たんす」が落ちる!、「たんす」が落ちる!。 金メダル、金メダルがっ!。
 がらがらっ、、、ばったぁあ〜ん!。 がらがらっ、、、ばったぁあ〜ん!。


 その時!、後ろをガバっと振り返り、電柱にしがみついたOL!。 そして叫び声!。



 でも、そんなことはどうでも良かった。 走った勢いで前のめりになり、体制が崩れ、「たんす」はスローモーションで僕から離れ、、、前方へ、、、飛んでいった、、、、、。


 これは砲丸投げじゃなく、「たんす」投げか、、と突っ込みを入れたが、笑う人は誰もいなかった。 
、、、、、、、、、、、、、、、、






 そんな、こんなで、数日たったある日、 子供が息せき切って帰ってきた。

「パパー、パパー!。 あのね、お友達がね、、この辺ね、妖怪が出るんだって!!」

「妖怪?」

「うん、あのね、妖怪たんす担ぎって言うの」。
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、





 もしかして、あの時のOL.。 


 あの時、彼女には悪いことをした。 そりゃぁ、暗がりの寂しい一本道を歩いてたら、突然、「たんす」担いだ男が、凄い形相で追っかけてくるんだから、誰だってびっくりするよな。


 それにしてもOLさん。 あの状況で、「妖怪たんす担ぎ」とは、、、、、、、、。 

ナイスなネーミングですね!。(^-^;)



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